2020年7月ブログ

2020年7月ブログ · 2020/07/12
「合意制家族」とは、最新の家族社会学の概念です。多様な課題を抱えている21世紀の現代こそ、新しい家族イメージが不可欠です。その多様な課題の解決のための方向づけに21世紀の現代に相応しい新しい家族像、すなわち「合意制家族」という家族イメージが求められています。私(野々山久也)は、この言葉を2007年(拙著『現代家族のパラダイム革新ー直系制家族・夫婦制家族から合意制家族へー』東大出版会、参照)以前から使用してきています。合意制家族について、しばらく(本ブログにおいて、やや長期間にわたって)お付き合いくださいますようにお願い申し上げます。 ところで明治以降、明治政府によって日本の家族のあり方(家族制度)の基本が制度化されました。それは当時の人口全体の10%ほどにあたる武士階層が保持していた家父長制の「家」制度を見本にした、いわゆる父系の「直系制家族」という家族制度の制度化でした。当時、日本には多様な家族のあり方が全国各地に分布していましたが、モデルとしての直系制家族は、明治政府にとっては理想の家族制度であったのです。今日の時点から見れば、この直系制家族は、ネガティヴな側面しか見えてこないかもしれませんが、しかしそれなりに次三男等の労働力の大量の排出という面からも当時の日本の急速な近代産業化に大いに貢献したことは事実です。 それから第2次世界大戦後、アメリカによる他力とはいえ、憲法や民法の改正にもとづく夫婦中心の「夫婦制家族」の制度化が行われました。人びとは民主主義という言葉とともに新しい家族制度に期待を懸けて行きました。高度経済成長の時代をとおして、いわゆる核家族化が進行し、「固定的な性別役割分業」の家族である夫婦制家族が理想の家族になって行きました。三種の神器、そして3Cへの憧れは、日本の家族イメージが核家族形態の夫婦制家族への憧れと並行するものでした。 しかし21世紀の今日、国民総長寿化時代をむかえ、男女平等化とともに性別にかかわらずの高学歴化が進行し、かつ労働力分野では女性労働力の需要がいよいよ高まってきています。そのことを背景にして性別による差別のない男女共同参画社会づくりは、喫緊の課題になってきています。私は、従来の家族のあり方を批判しているだけでよい段階から、今まさに現代に期待される家族イメージの提示が求められていると考えています。その家族イメージの提示のないままでは、提起される政策に地に着いた足あるいは見分けのつく顔がないに近いと言ってよいのではないかと考えています。 そこで私は、直系制家族ならびに夫婦制家族の時代をへて、21世紀の現代は「合意制家族の時代」であると主張してきているのです。日本社会の持続的発展を前提としての人口問題の解決(少子化対策)も含めて、男女共同参画社会の構築をめざすには、新しい家族像がいままさに不可欠です。現在の憲法における結婚観は、すでにすべてではないにしてもかなり「合意制家族の観念」を先取りしています。しかし残念ながら、依然として乗り越えなければならない従来のいわゆる「近代家族」の枠組みに拘束されている面が随所に見受けられることも事実です。男女共同参画社会の基本は、・・・・・。 (しばらくお待ちください。続きは、近いうちに表示する予定です。甲南大学・名誉教授/野々山 久也) 泉北情報センター